宇宙に終わりはあるのか(第4回WPI合同シンポジウムに参加しました)

物理学 Advent Calendar 2014の25日目の記事です。

2014年12月13日に開催された第4回WPI合同シンポジウムに参加してきました。本記事では、このシンポジウムでの「宇宙に終わりはあるのか」と題した講演について重点的に紹介したいと思います。

WPI合同シンポジウムとは

WPI合同シンポジウムとは、世界でもトップレベル研究拠点(現状9拠点)が毎年合同開催しているシンポジウムで、第4回の今年は東京(有楽町朝日ホール)で開催されました。「サイエンスがつなぐキミのミライ」と題されたとおり、9つの拠点の研究紹介だけでなく、主に高校生による研究発表もあわせて行われました。

構成としては、研究拠点と7つの高校によるポスター展示、3校の高校生による研究発表、研究者3名による講演というプログラムで、全体的に楽しく興味深い内容でした。
また、高校生の発表を聞いていて感じたのは、仮説を立て実験し、考察と検証を行い知見を得るというアプローチをしっかりやっていて、自分が高校生の頃とは比べ物にならない優秀さを感じました。

宇宙に終わりはあるのか

3名の研究者の講演どれも興味深かったですが、イベント参加のきっかけであり、一番興味のあったカブリIPMUの村山斉さんの「宇宙に終わりはあるのか」と題した講演について以降に簡単に紹介したいと思います。高校生向けの講演でもあり、面白く分かりやすく説明されていました。

宇宙の原子をすべてあつめても全体の5%

万物は原子でできている。

誰しも学校でこのように習ったかと思います。しかし、2003年に宇宙全体を構成する要素のうち我々が身近に知っている原子はたったの5%しかないことが宇宙の観測の結果から明らかになりました。宇宙の構成要素は原子以外に暗黒物質が27%、暗黒エネルギーが68%ということが分かっていますが、そもそも暗黒物質や暗黒エネルギーの正体が何なのかは現在も分かっていません。

実は、宇宙のほとんどは原子で出来ていなかったんです。

銀河の中で地球は秒速220Kmで動いている

一般に銀河は渦をまいて回転しています。天の川銀河における地球の相対速度は実に秒速220Kmもあり、銀河の中を猛烈なスピードで回転しています。こんな速度で回転していても地球が銀河から飛び出して行かないということは、回転による遠心力と銀河中心に向かってはたらく重力の釣り合いがとれていることになります。しかし、銀河の観測で判明している星やガス等の質量をすべて足しあわせても地球を銀河に引き止めておけるほどの重力を持っていないことが分かっています。このことが、暗黒物質、つまり、観測できないが大量の質量を持った何かが存在しているであろう根拠のひとつです。

暗黒物質がなければ銀河はばらばらになっているはずです。

宇宙の膨張は加速している

時を遡り、1998年、宇宙の膨張が加速していることがわかりました。

宇宙がビッグバンによって誕生して以来、宇宙は膨張を続けていますが、この膨張はいずれ減速しそこから宇宙の収縮に転じるか、膨張速度は減速しながらも永遠に膨張は続くという考え方がそれまでは主流でした。ところが宇宙の膨張は減速するどころか加速していることがわかり、この宇宙の膨張を加速させるエネルギーを暗黒エネルギーと呼んでいます。

宇宙の膨張速度がこのまま加速を続けると、気の遠くなるような未来には宇宙の膨張速度が無限大に達し、銀河や星はばらばらになり、それだけでなく原子を構成する素粒子も分解され、宇宙が熱的に死ぬ時が訪れます。これをビッグリップと呼びます。

宇宙に終わりはあるのか?

ビッグリップはあくまで宇宙の将来の可能性の1つであり、本当のところどうなるのかは分かっていません。
現在、カブリIPMUを含め世界中の研究機関で暗黒物質の直接観測実験や宇宙の大規模な観測による暗黒物質や暗黒エネルギーの分布調査が実施されています。これからおよそ10年かけて宇宙の将来がどうなるのか頑張って調べていくという意気込みと、今この話を聞いている高校生の皆さんにも将来是非研究に加わってもらえればということで話を締めくくられました。

おわりに

ここ数年、この記事にあげた村山斉さんをはじめ、大栗博司さん、村田次郎さんといった方々の物理や宇宙に関わる書籍(主に新書)が色々と出版されています。どの書籍も最新の物理や宇宙の話題を平易な言葉で誤魔化すこと無く説明されているので、みなさんもぜひ最新の物理や宇宙の話題に触れてみてください。大栗先生の超弦理論入門や、村山先生の宇宙になぜ我々が存在するのか等を読むと、我々の想像を超えた世界が広がっています。

最後に、この記事は物理学 Advent Calendarに投稿されている皆さんの記事に触発され自分も何か書いてみようと飛び込みで投稿させていただきました。アドベントカレンダーの立上げと管理をしてくださった id:tanaka733 さん、id:aetos382 さんに感謝致します。

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